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- 「永遠に生きるってのはどうでもいいことだ。肝心なのはプライドを守ることだ。永遠に」
- ―エドワード・ティーグ
エドワード・ティーグ(Edward Teague)とは、カリブ海の悪名高い海賊のキャプテンであり、ジャック・スパロウの父親である。実力を持つ伝説の海賊として、ティーグは自らバッカニアへの道を歩む息子ジャックの前に時折姿を見せた。無法者ではあったが貴族的な立ち振る舞いも見せた。恐ろしい外見とは裏腹に紛れもない優しさと繊細さを併せ持っていたのである。
経歴のある時点でキャプテン・ティーグは評議会に加わり、マダガスカルの海賊長と掟の番人という称号を得た。率直かつ厳格な人間性と海賊の掟に対する妥協なき献身は海賊長たちだけでなく息子ジャックからも畏れと尊敬の目を向けられた。「出不精」の海賊とされたティーグであったが後年も活動的なままであった。ティーグは海賊に対する戦争で新しい海賊王を選んだ評議会とともにカトラー・ベケットの艦隊相手に立ち上がった。ジャックが生命の泉を捜す旅に出発する前には危険な航海になると警告を発した。
経歴
生い立ち
ティーグの生い立ちはほとんどが謎に包まれたままである。人生のあるとき、彼は海賊に加わり貴族的な振る舞いを見せるならず者と化した。恐るべき人物でありながら紛れもない優しさと繊細さも併せ持ち、ギターから流れる甘いバラードでも心を打ち砕くことができる野蛮な海賊であった。実力で伝説の海賊になったティーグは評議会の海賊長たちから畏れと尊敬のまなざしで見られ、あらゆることを成し遂げて世界でもっとも恐れられた海賊となった。ティーグは海賊の時代にマダガスカルの海賊長および掟の番人に就任している。
17世紀終盤から18世紀初頭にかけてのある時期、ティーグは氏名不詳の女性との間に息子、ジャック・スパロウをもうけた。ラスティー・ニッカーズがジャックの手を切り落とすと脅したときに彼をノックアウトしたりキャプテン・ルシール・グレイヴンがジャックを奴隷として売ろうとしたときに助けたりするなど、ティーグはジャックの少年時代を通して助けが必要なときにいつも手を差し伸べた。その後もティーグはバッカニアの道を歩む息子の前に何度も姿を現した。
ジャック捜索
ジャックが難破船入り江から逃げ出すと、ティーグは自身の古い船<ミスティー・レイディー号>を使って捜索に乗り出した。捜索中、ティーグは悪名高いブードゥー教の司祭ティア・ダルマを訪ねたが彼女の小屋でもジャックを発見することはできなかった。ところが数ヶ月後、カリブ海の真ん中でフィッツウィリアム・P・ダルトン3世というイギリス貴族の若者と<バーナクル号>と呼ばれるボートに乗るジャックを見つけることができた。ジャックとフィッツウィリアムは<レイディー号>に連行されたがそのとき突然ローレンス・ノリントン提督率いるイギリス海軍の艦隊が船を攻撃した。
海賊たちは全員捕獲されローレンス・ノリントンの船に連行された。ティーグの旧友ジョシャミー・ギブスのおかげで営巣から脱出した海賊たちは甲板で激しい戦いを繰り広げた。戦闘中、ティーグは魔法の指輪を使ってイギリス海軍のスパイだったフィッツウィリアム・P・ダルトン3世を操った。この戦いのさなかにノリントンの息子ジェームズが気を失って海に転落したためティーグが救助した。<ミスティー・レイディー号>とノリントンの船の間で熾烈な大砲の撃ち合いが行われ、ティーグの乗組員はノリントンの船の防御を破ることに成功する。ノリントンの乗組員が敗北するとティーグとジャックは<ミスティー・レイディー号>に戻った。ティーグはジャックが新しいボートを調達できるようにポセイドンの峰付近にあるとても美しい島に彼を降ろしたのであった。
海の処刑人との戦争
難破船入り江に戻ったティーグはまもなくジャックと再会する。ジャックは<ウィキッド・ウェンチ号>という名前の海賊船に乗組員として加わり旅に出た。その後、非常に強力な敵が新たに登場する。それは海賊をひとり残らず殺害することに執念を燃やしすでに何千人もを葬り去ったスペイン海軍のアルマンド・サラザールというキャプテンであった。海賊の一団が団結し最後の戦いを挑むことになった。ティーグも息子のジャックと一緒に<ウィキッド・ウェンチ号>の乗組員に参加した。戦闘が始まるとやがて<ウェンチ号>以外のすべての船が破壊されてしまう。多くの海賊が犠牲となり、<ウェンチ号>のキャプテンは死ぬ前に魔法のコンパスをジャックに託した。これをコンパスだけではなく指揮権の委譲と見たティーグは即座に<サイレント・メアリー号>を倒す算段をするジャックに船の指揮を任せた。ティーグはジャックの計画を実行するため他の乗組員と力を合わせ、うまくサラザールを出し抜いて<サイレント・メアリー号>を魔の三角海域に閉じ込めた。サラザールを葬り去ったことにより乗組員からジャックに貢ぎ物が送られた。ティーグは新たな所持品を持って称えられるジャックを後ろから見ていた。彼の顔には笑みが浮かんでいた。
はぐれ海賊とのトラブル
海賊の会合
2年後、謎のはぐれ海賊が捕獲した商船の乗組員を殺害して評議会の掟を破るようになった。掟の番人としてティーグはこの問題を調査する責任があった。6ヶ月後、海賊長の会合が海賊の館で開かれる。ドン・ラファエル、ドナ・エスメラルダ、ボリス・パラチニク、ミストレス・チン、エドゥアルド・ビジャヌエバ、ジャック・スパロウなどの海賊たちが集結した。会合において、海賊のキャプテンたちは平和な商船をはぐれ海賊が攻撃したことによりヨーロッパの植民地保有国が戦争を宣言するのではないかとの懸念を口にした。もうひとりの海賊のキャプテン、ヘクター・バルボッサは彼の海賊船<コブラ号>がはぐれ海賊に破壊されるのを目の当たりにしており、評議会にはぐれ海賊を撲滅する別の理由を与えることになった。
調査
このころ、ジャックはカリブ海の海賊長ドン・ラファエルの孫娘エスメラルダとつきあい始めたが、ティーグは彼女から離れるよう警告した。しかしジャックとエスメラルダの友情は続き、ふたりは<コブラ号>を破壊した船が難破船入り江に停泊していることを発見する。それはカスピ海の海賊長、ボリス・"ボルヤ"・パラチニクのスループ型帆船<コルダーニャ号>であった。
ティーグとドン・ラファエルがこの知らせを聞いた後、ティーグは正式な調査会議を招集する。海賊の館においてすべての目撃者たちが証言を行ったがボルヤを犯人と断定するには証拠が足りなかった。そこでティーグは海の支配者デイヴィ・ジョーンズを召還することに決めた。ジョーンズは海の王国で起きた出来事をすべて知っているため、評議会は彼をティーグの船<トゥルバドール号>に魔法で呼び出した。ボルヤの罪について訊かれたジョーンズは、彼こそがはぐれ海賊であり彼とその部下たちが容赦なく魂を海底に送り込んでいると話した。
はぐれ海賊の脱走
ボルヤとその乗組員たちは全員すぐに難破船町の地下牢に幽閉され、ティーグにより死刑が言い渡された。理由は不明だが、ボルヤは彼の指示で動いていたはぐれ海賊のキャプテンの名前を看守に明かした。この情報により、島から離脱しようとしていたフランスの海賊クリストフ=ジュリアン・ド・レイピアとその乗組員も捕まえることができた。彼らもまた死刑が宣告されたが、レイピアの友人であるジャック・スパロウは無実を信じた。
ティーグは合流地点で残りのはぐれ海賊を見つけ壊滅させるための海賊艦隊派遣を計画した。だがボルヤの絞首刑前夜にジャック・スパロウが牢を破ってクリストフと乗組員を解放した。彼がボルヤとその乗組員たちを解放したことでクリストフの有罪も証明されてしまった。はぐれ海賊は武器庫を襲撃しドックで激しい戦いが繰り広げられた。はぐれ海賊のひとりがティーグに狙いを定めるがジャックが銃身を別の方にそらしたため命中しなかった。戦いの大混乱の中、はぐれ海賊はジャックを誘拐して船に乗ることに成功した。
息子のいない数年間
それから5年間、はぐれ海賊と姿を消したジャックは評議会からならず者と見なされた。ジャックはクリストフの船から脱出していたがティーグに絞首刑を言い渡されることを恐れて難破船入り江には戻らなかった。5年後、ジャックは東インド貿易会社の商船<ウィキッド・ウェンチ号>のキャプテンに就任していた。冒険中、ボルヤを殺害してエスメラルダと再会したジャックは逃がしたはぐれ海賊を討伐すればティーグに認められると話した。数ヶ月後、クリストフを殺したジャックは海賊に戻って難破船島に帰還する。
リベルタリア
ジャックの帰還後、ティーグは海賊長としての立場を引退しその席を息子に譲った。ジャックはカリブ海の海賊長に就任する。まもなく、ティーグはジャック以外の家族全員をリベルタリアに移住させた。ある日、ジャックの船<ブラックパール号>がリベルタリアに到着するとティーグはジャックと友人たちを屋敷に招待する。夕食中、ジェントルマン・ジョカルトがかつての主人で自分を奴隷に売ったサミュエル王が招かれていると勘違いして攻撃を仕掛けてくる。ジョカルトとジャックの乗組員は力を合わせてサミュエルの砦を攻撃し、シャドウ・ゴールドの小瓶を手に入れた。リベルタリアに戻った彼らはヨーロッパに向けて旅立った。ジャックが出発する前、ティーグは人生における選択についてアドバイスを贈った。
後年
カリの涙
ジャックが出発した後、ティーグは難破船入り江に戻って掟の番人としての立場を保ち続けた。ところが、インド人アクシャイによって「ピラータ・コーデックス」が盗まれるとティーグは彼がそれを東インド貿易会社に売却する前に取り戻さなければならなくなった。インド洋を渡ってヴェルハ・ゴア島の隠れ家までアクシャイを追ったティーグは彼の戦士たちに捕らえられ、前の犠牲者たちの骸骨で埋め尽くされたほとんど底なしの穴に閉じ込められた。[1]
その後しばらくして、ティーグの息子ジャック・スパロウもアクシャイからインドの女神カリの貴重な涙を盗もうとした罪で穴に幽閉される。ジャックは秘密の抜け道を見つけ、アクシャイの宮殿に入ると3人の衛兵を倒して武器を奪った。[1]
ティーグは「ピラータ・コーデックス」を探し始めるがジャックは島からの脱出を求めて港に向かった。本を見つけたティーグだったがすぐにアクシャイと戦士たちに包囲されてしまう。しかし気が変わったジャックがティーグを助けに現れる。ティーグはろうそくを撃って倒し宮殿に火をつけるとそれを利用してジャックと逃げ出した。その後、マダガスカルの沿岸で密かにジャックからカリの涙を盗んだティーグはジャックのボートで海に出た。足止めされたジャックは自分こそが世界で一番の海賊だと自慢していた。[1]この冒険ののち、ティーグは「ピラータ・コーデックス」を持って難破船島に帰ったのであった。
子分の発見
ポート・ロイヤルの攻撃直前、難破船入り江にはマンガードという海賊がティーグの信奉者して暮らしていた。海賊の掟をティーグと同じくらい重く受け止めていたマンガードは自らを掟の護衛役に据えていた。しかし、競売人によって開催されたオークションの最中に掟を撃つというマンガードの悪行はティーグの耳に届かないよう極秘にされた。[2]まもなくティーグは自分で掟の法律を管理するようになる。
投獄
イスラ・デ・ムエルタの戦いからまもなく、ティーグは以前にラム酒を備蓄しておいた流木の島に行くため海賊ブロンズ・ジョンを雇った。ティーグにとっては不運なことに、そこにはイギリス海軍のメンバーがおり、短い戦いを経て捕獲されてしまう。ティーグは当局に引き渡すため最寄りのイギリス植民地に向かう海軍の船に連行されてしまった。幸運にもある海賊のキャプテンが海軍の船を攻撃して沈めたことによりティーグは絞首台の運命を免れることができた。[3]
トルコの刑務所
それから約1年後、理由は不明であるが、ティーグは死者の宝箱を見つけるため宝箱の鍵の絵が描かれた布きれを手に入れようとトルコの刑務所に入所したジャック・スパロウと再会する。刑務所の地下牢において、ティーグは捕獲者たちが彼を絞首刑にする前に脱出するよう助言した。とりあえず息子は安全であると確認したティーグは難破船入り江に戻って掟の番人としての職務を続けたのであった。
海賊に対する戦争
- ヘクター・バルボッサ: 「掟によると、戦闘行為は、これがまさにそうだが、海賊王の宣言によって実行される」
- ジャック・スパロウ: 「今作っただろ」
- ヘクター・バルボッサ: 「そう思うか?キャプテン・ティーグを呼んだ。掟の番人だ」
- ―第4回評議会においてヘクター・バルボッサとジャック・スパロウ[出典]
ヘクター・バルボッサとジャック・スパロウが進行役を務めた第4回評議会において、ジャックが海賊長たちを戦争に参加するよう説得するとバルボッサは「ピラータ・コーデックス」でこれを確かめるためにキャプテン・ティーグを呼び出しジャックを落胆させた。ティーグは掟を軽視する発言を行ったスリ・スンバジの側近アスケイを入り口から射殺すると銃口から立ちめぐる煙を吹いて「掟は法だ」と言い放ち会議に加わった。ティーグは部屋にいる者たち、特に息子のジャックを恐怖に陥れた。掟の運搬人が「ピラータ・コーデックス」を室内に運んでくるとティーグは南京錠がついた本を開けるための鍵を咥えたプリズン・ドッグを口笛で呼んだ。ティーグが掟の項目を読み上げると海賊長たちは海賊王の投票を始めた。海賊長たちが投票する中、ティーグは椅子に座ってギターで"Only Found Out Yesterday"を演奏した。投票の結果エリザベス・スワンが海賊王に選ばれると海賊長たちは不満を口にするが、ジャックが掟を守らないかと尋ねた瞬間にギターの弦が切れティーグは海賊長たちに獰猛な一瞥を見せた。
会合が終わると、ティーグは不死性を追い求めるジャックに助言を与えた。そして干し首にして持ち歩いていたジャックの母親にも再会させた。干し首を受け取ったジャックはのちにそれをベルトから吊している。同胞たちは心配そうに部屋を出るが外で町に侵入してきた東インド貿易会社のブラック・コートと対決する。ティーグは南のドックに閉じ込められるが息子の助けを借りて敵を倒すことができた。
翌日、ティーグは<トゥルバドール号>に乗って乗組員を指揮し、評議会の艦隊に加わった。ティーグと乗組員たちはデイヴィ・ジョーンズとカトラー・ベケット卿が命を落としたカリプソの大渦巻きの戦いを遠巻きに眺めていた。東インド貿易会社の艦隊の他の船が撤退していくのを見たティーグの乗組員たちは他の海賊たちと勝利に酔いしれる。他の者たちがしていたように騒いだり踊ったりする代わりにティーグはただ帽子を宙に投げて評議会の勝利に笑みを浮かべたのであった。
ロンドンでの再会
- 「もうひとつ言っておこう。泉はお前の力を試す。覚えておくんだぞ」
- ―ジャック・スパロウに対してエドワード・ティーグ
数年後、ティーグは再び、このときはロンドンで、ジョージ2世の宮殿から脱出したジャック・スパロウと再会した。ジャックを狙っていた国王の近衛兵の兵士をティーグが撃って助けたのであった。ティーグとジャックはそのまま酒場「キャプテンの娘」に入って再会を楽しんだ。酒場にて、ふたりはジャックの歯がつけられたジャックの頭の新しい装飾品について話し合う。それからティーグは本題である生命の泉の探索に触れた。彼は冒涜の儀式に関する情報をジャックに与え、ポンセ・デ・レオンの船から2つの銀の聖杯を手に入れなければならないと教えた。ジャックが探索に興味を持つと、ティーグはすべてをよく知るまで手を出さない方が良いと助言した。
乗組員を募っている一団をジャックに示したティーグは、泉は相手を試すのだと警告する。ティーグとジャックが酒を飲み干すとジャックはもう一度船員たちに目をやった。ジャックが振り向くとティーグはすでに姿を消していた。
舞台裏
- 『ワールド・エンド』、『生命の泉』でキャプテン・ティーグを演じたのはキース・リチャーズである。ゲーム版『ワールド・エンド』ではジュリアン・ホロウェイが声を担当した。『最後の海賊』ではアレクサンダー・シアーが過去のティーグを演じた。
- 『デッドマンズ・チェスト』と『ワールド・エンド』の同時進行の制作中、このキャラクターはグラントまたはティーグ・スパロウという名前になると噂されたがどちらも実現しなかった。『パイレーツ』脚本家テリー・ロッシオはやがて「キャプテン・ティーグ」が脚本上の名前であると認め、『生命の泉』でもこの名前が使われた。
- 『パイレーツ・オブ・カリビアン』映画シリーズでは「キャプテン・ティーグ」としか呼ばれないことから、ティーグのファーストネームについては議論がある。ゲーム版『ワールド・エンド』ではティーグを操作して敵と戦うときに彼が「That's what you get for challenging Captain Edward Teague(キャプテン・エドワード・ティーグに挑むとこういうことになる)」と言うのを聞くことができる。この名前は『自由の代償』でも使用されたが映画で言及されたことはない。
登場作品
- ジャック・スパロウの冒険4 コルテスの剣 (言及のみ)
- ジャック・スパロウの冒険6 銀の時代 (言及のみ)
- ジャック・スパロウの冒険9 踊る時間 (言及のみ)
- ジャック・スパロウの冒険10 父の罪
- 自由の代償 (回想に登場)
- シャドウ・ゴールドの秘密4
- Tears of the Goddess
- Tales of the Code: Wedlocked (言及のみ)
- Pirates of the Caribbean Online (父の日に言及のみ)
- パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
- パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド (ゲーム) (初登場)(エドワード・ティーグという名前で初登場)
- パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉
- パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊 (回想に登場)